映画「靴職人と魔法のミシン」ネタバレ ‐ 人の靴を履きまくる職人

ポスター画像のイメージからか、特に前知識なく臨んだために「ヒューマンドラマでシェフ映画の靴職人版」という認識は開始10分で覆されました。("魔法のミシン"でちょっとは案じろよというお話)

コメディでファンタジーにヒューマンとちょいギャングといっぱい詰まってますよ!!

 

ちなみに絶賛配信中のHuluさんで拝見しました。ありがたき幸せ!

 

靴職人と魔法のミシン(2014)

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監督:トーマス・マッカーシー

出演:アダム・サンドラー/ダン・スティーヴンス/ダスティン・ホフマン 他

 

あらすじ

 

退屈な日常を過ごし、平々凡々と暮らすマックスは年老いた母との2人暮らし。代々継がれてきた靴直しの店で働いていた。ある日普段使っていたミシンが故障したため、古くから使われ眠っていたミシンで直した靴を履くと、その持ち主の人生に入り込めるようになってしまう。始めは面白半分で楽しんでいたマックスだが、次第にある事件に巻き込まれてゆく…

 

ストーリーとネタバレ

 

毎日をただ過ごし、隣の理髪店の主人から新聞を受け取り、靴を直す。そんな人生を送っているとある日カーメンという女性が署名集めとソロモンさんの立ち退きを守るための活動に声をかけてくる。我関せずであったマックスだが、ある日仕事道具のミシンが故障してしまう。店の奥に眠る古いミシンでの靴直しを始めたところ、そのミシンで修理した靴を履くと見た目も言葉も靴の持ち主になれたのだ!

 

一通りの靴を試し、見た目では気づかれないことを確信したマックスは靴を履き替え人生を履き替え、街を闊歩して楽しむ。素敵な彼女の彼に化け、ギャングに化け、「夢が叶うなら夫とまたディナーがしたいねぇ」と語る母の願いを叶えるべく、父に扮して母とひとときの夫婦のデートを演出する。

しかし街のギャング・レオンになりすましたことがキッカケでリンチ現場やバックにある大きな女ボスの組織にまで関わるようになってしまう。元の性格の通り、穏便にコロシなどはなく済ませようとするレオンに周りは不審がる。またレオンに化けている間に、その女ボス・エレーンに汚れたお金の処分を命令されてしまう。別人に化けてレオンを脅すマックスだが、弾みで彼を殺してしまう。翌日警察に事の次第を話し、現場へ向かうも死体も血のあともすっかり無くなっていた。

 

母の死後、店を空けがちであることを指摘する隣の理髪店主人に父のことで隠し事をされていると分かりカッとなる。しかしエレーンらがソロモンさんの暮らすマンションに放火の計画を立てていることを小耳に挟んだマックスは、ソロモンさんには家族のいるシカゴへ来させる手段と取引をエレーンに持ち掛ける。(もちろん罠も仕掛ける。ソロモンさんがシカゴに着いたところで、付き添いのエレーンの部下は逮捕される)そうして靴を変え顔を変え、エレーンを騙し、ハメることに成功したマックスは最後にはマスコミを待機させ、エレーンもお縄となる。

 

カーメンにお礼と靴の直しを頼まれ、デートを申し込まれてウキウキのマックスは先日のことを謝りに理髪店を訪れる。執拗にピクルスを勧める店主を怪しんでいると、彼がおもむろに靴を脱ぐ。理髪店の主人こそが、蒸発した彼の父親でずっと傍にいたというのだ。彼の変身にまつわる後処理も(遺体の片付けも…)彼がしていたのだという。戸惑うマックスも次第に理解しようと試み、離れていた時間を取り戻すように"秘密の裏口"から自分たちの家、ブルックリンを目指すのだった。

 

感想とか文句とか

 

ヒューマンドラマと(勝手に)思い込んでいた上に、ファンタジーが少々苦手なワタシ。預かった靴を履いたところで「えっファンタジーだったの!?」と思いはしたものの、全く違う人になれる(訛りなども移る)だけということもあり中々面白く観ることが出来ました。あと笑いのツボが結構相性よかったみたい。何も考えず気軽に「アッハッハ」となれる映画。

だけれども、客として出会ったレオンの人生に片足を突っ込んだことがキッカケで&カーメンやソロモンさんを巻き込むちょっとした群像劇もありで、中盤からギャング・クライムが混じってきます。私が求めていたふわふわ靴職人はいずこに…?のど元にヒール刺さって大量出血シャワー怖すぎるんですけど…?まさか「今日はこの雰囲気がいいな」と再生したものがこんな予想外でくるとはね…映画とはおもしろいものだ(ポジティブシンキン)

 

ジャンルぐちゃぐちゃになりかけている感もあるけれど、設定はまぁ面白い。主人公が普通だけど根はいい人で、今回のファンタジー要素を悪用する人じゃなくてよかった。ざっくりと「ミッドナイト・イン・パリ」っぽいかもと思いつつ。最後のオチはわりと読める内容ではあったけれど、ダスティン・ホフマンの微笑みを観たらそんな緩さも許してしまう!!!

だって理髪店のオジサンちょっと様子おかしかったし、「君の父親はわしだけを信用していた!」の件で、なんやおいちゃんがお父ちゃんだったんかい。となりますよね。しかしずっと雲隠れしていたというのにそんなにお金余っているのだろうか。とか、靴を履くことで持ち主の人生に入れることに気づいたマックスは別人になり、理髪店に顔を見せて「バレてないぞーー!」とするわけだけど、やっぱりあの時点でパパは全て分かっていたのかなーって。

 

いくつもの靴を持ち歩き、様々な人に変化して日常をこなす姿も面白いけれど、(そもそもヒューマン気分だった私は特に)マックスの両親のやさしさとあたたかさが素敵だったなぁと。

最後のお父さんの包み込む微笑みはもちろんのこと、「デートをしよう」とおめかしして待つお母さまの可愛さの威力が凄まじい…ッ!鏡とにらめっこしておめかしして、いなくなったはずの旦那(実際はマックスが父の靴を拝借)が帰ってきてディナーとダンスをする。こんなに素敵なことはあるのかと思う反面、どこかむごいのでは、マックスは虚しい気持ちになってしまうのではと少し思った。のだけれど、その晩眠りについたまま亡くなったお母さんを見るとこれでよかったんだなとも思える。