映画「ロードトゥパーディション」感想ネタバレ ‐ 父と息子の3つの形

久しぶりにトム・ハンクス作品をば。

大恐慌時代のアメリカのマフィアと父・息子の絆を描いた一本。ゴリゴリのマフィアものを期待するとちょっと面食らうかも?マフィア×親子のロードムービーだよ!
 
ロード・トゥ・パーディション(Road to Perdition
2002年/アメリカ/マフィア/ギャング/親子/ロードムービー
 

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監督:
サム・メンデス
キャスト(役名):
トム・ハンクス(マイケル・サリヴァン)
ポール・ニューマン(ジョン・ルーニー)
ダニエル・クレイグ(コナー・ルーニー)
ジュード・ロウ(マグワイア)
タイラー・ホークリン(マイケル・サリヴァンJr.)
 

あらすじ

30年代、大恐慌下のシカゴ。両親の死後、育ててくれたギャングの親分の下で、殺し屋として働くマイケル。が、親分の息子に妻と幼い次男を殺害され、12歳の長男とともに逃亡して、組織への復讐を企てる。しかし彼は長男には自分と同じ道を歩ませたくなかった。監督第1作「アメリカン・ビューティー」でオスカー監督賞&作品賞を獲得したサム・メンデス監督の第2作。主演は2度のオスカー主演男優賞に輝くトム・ハンクス。   引用:映画.com https://eiga.com/l/uD5y
 
ちなみに同名の原作小説が元になっているそう。(著者:マックス・アラン・コリンズ)
タイトル、どうしても「パーティジョン」と言いたくなってしまうのはなぜ。(そんな英語はない)直訳すると「破滅(地獄)への道」となるけれど、今作だと最後に目指すお家のある町が「パーディション」というらしいです。なのでやっぱりロードムービーなのよね。
 
 
 
以下ネタバレを含みます注意!!
 
 
 

おさらいと役どころ

 
まずはおさらい。
 
トム・ハンクス(マイケル・サリヴァン)
 →殺し屋の父ちゃん。不器用な家族想い。絶対許さないマン。そして父になる。
ポール・ニューマン(ジョン・ルーニー)
 →マフィアのボス。コナーの父。サリヴァン一家も可愛がる。みんなファミリー。
ダニエル・クレイグ(コナー・ルーニー)
 →ジョンの息子。短気でいつもニヤニヤしてる。ばか息子。珍しく弱いダニエル。
ジュード・ロウ(マグワイア)
 →ルーニー側に雇われた殺し屋。爪が甘い。今日もジュードは美しい。
タイラー・ホークリン(マイケル・サリヴァンJr.)
 →トムハンクスの息子。芯が強い長男。親子同名ありがちだけど混乱するから控えてほしい。
 
海外作品にありがちの親の名前を踏襲する問題はここにも発生です。日本じゃそんなの歌舞伎界くらいだものね。マイケルもマイケルって言われたりマイクって言われたりするのたまにンンってなるから助けてほしい(´・ω・`)
 
もう20年近く前の作品なので、まぁ今をときめく役者さん揃いなわけです。豪華~~!!💰
個人的にトム・ハンクス作品を観るのは久しぶりだったけれど、やっぱり彼の抑えの演技はいいなぁと。
 
そしてちょっと今では考えられないようなダニエル・クレイグのダメ息子っぷりも笑えてしまう。よわよわダニエルに違和感を覚えた人もいるみたい。わか~るわかるよ君のきもち~
パパに怒られてそんな情けないお顔しちゃうのダニエル・・・今日もかわいいね・・・
 

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まぁ監督のサム・メンデスはその後007でダニエルのかっこいいところもたくさん撮ってくれているので今作は免除です(?)
 
あと、この頃のジュードは美しいと第一次薄毛期を兼ねているので想像はしていたけれど役作りでさらに毛を減らしたとかなんとか。そんな残酷なことある??抜くのはやめて・・・
それでも美しいんですけどもね。マイケルの復讐も終え、叔母さん家に向かう流れも「いやいやジュードはどうした??確かに顔面撃たれてたけど即死じゃないあたり大怪我はしたろうが生きてるよね??終わっちゃうよーーー!」という気持ちで観ていた。ので、「ですよね!」との感想ののちに出てきたお姿。
 

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ひええええ~~~~それでもなお美しすぎる~~~~!!!!!顔が良い~~!!だったのでもっとグロくてもよかった。マフィアに雇われた殺し屋にしては何かいろいろ惜しいなぁという感想もある。単純に仕事が遅いのでは?とか、匿ってもらったご夫婦のお家にいるときなんて優雅にテラスでお茶なんてしてられないよねとか。ゴリゴリのギャングものならあの家ごと・・・となりそうなので。。無事でよかった。死体撮り新聞記者って面もあるサイコパス感はすごく好きでした。
 
 

3つの父・息子のかたち。

 
本編はというと、父と息子の在り方が3通り描かれていきます。父として、子として、逆の立場で感じること。子供に伝えていきたいこと。
 
①マイケル&マイケルJr.のサリヴァン親子

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息子との距離感を掴みきれず、息子は「自分より次男が好きだったんじゃないか」と感じている。妻と次男を同時に失い、どこか「自分に似ていて接し方に戸惑いを感じる」マイケルとの二人家族になるんですが、今までは家や子供は基本妻任せもあって、自分は息子のことをよく知らないのだと気づき歩み寄ってゆくところね、良い。。
 
特に運転の仕方をお父さんに教えてもらうところね。こういうキッカケで生きてゆく中で学んでゆくことを”父親”という立場に学ぶっていう描写がとても好きなんですよ。
記憶があいまいだけれど「とらわれて夏」だったかなぁ。ジョシュ・ブローリン演じる脱獄犯が駆け込んだケイト・ウィンスレット演じるシングルマザーの家庭に匿ってもらううちに心が通い始めて・・・という映画があるんですけど、そこでもタイヤの交換だか車の修理だか「男は覚えておけよ!」って感じで息子が習うシーンがあって胸熱なんですよ。そもそも合ってるか曖昧だけど、「とらわれて夏」もいい作品なのでぜひ。
話がそれました。(;´・ω・)
マイケルは自分の仕事に誇りはあれど、息子には同じ道を歩ませたくはない。たくさんの人間を殺してきた俺が地獄に行くのはいい。でも息子だけは、という想いがラストの行動に表れていてね。。親子らしくなれてきたのに置いていかないでよお父ちゃん・・・( ノД`)シクシク…
 
②ジョン&コナーのルーニー親子

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(何度でもこれを貼る)(愛してるよダニエル)
マフィアの親玉であるジョン、まだ粋がりたい盛りのコナー。マイケルとは違って、息子にも自分と同じ道を歩ませた親子。息子が間違いを犯したって分かっていたってそれでも守りたい。あのときのジョンはマフィアとか関係なくただの父親なのよね。身内に甘いとはいえ、幹部会議みたいな場で咎めるときはちゃんと咎める。いい父親でもあるけど、マフィアの世界でお前の家族は奪っちゃったけどうちの家族は許してよ、なんてそりゃ通用しないよね。おかげでブチ切れ父ちゃんの登場ですよ。最後、逃げるでも許しをこうでもなく、ただ黙って運命を受け入れる背中はかっこよくも見えた。全員集合でやられちゃってるのに突っ込みたい気持ちはちょっとある。
 
③マイケル・サリヴァン&ジョン・ルーニーのマフィア親子

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マフィアはファミリーとよく言うけれど、まさに。サリヴァン一家は息子たち含め家族みんな可愛がってもらっていたし、ジョンもお前は息子同然だと何度も話すシーンがある。実の息子のコナーが「なんだよマイケルんとこばっかり!このやろう!」なんて嫉妬するくらい。
マイケルはもちろん妻子の仇としてコナーを討つということはずっと目標としていたんだけれども、それでもジョンの元を訪れるあのシーンまではまだ迷いというか猶予みたいなものはあったんじゃないかなと。
コナーの裏切りの証拠を突き付けるも、「知ってるけど息子には手はかけられないし、身内も止められないからアメリカを出ていくのだ!そして生きろ!」なのでね、そこで見限ったんでしょうけど。ということはマイケルにも「父に許される」「正しいことを認めてもらう」ひいては「父のもとへ帰る」なんてこともあったのかなーなんて。コナーさえやっちまえばジョンのことはそこまで恨んでなかっただろうしね。(あの殺しはコナーの独断という前提で)
 
 
マフィアの世界の残酷さも残しつつ、親子の絆も美しく見せてくれた一本。ぜひ浸ってください(*^_^*)