ワンダーウーマン(ネタバレ)

 
ワンダーウーマン(2017)
 
8月25日に公開された話題作、ワンダーウーマンを観てきました!DC映画から女性が主役のヒーロー単独作&女性監督のアメコミ作品に期待は上々。2016年の「バットマンvsスーパーマン」(以下BvSと表記)で初登場し、登場のテーマ曲と男ヒーローにも退けをとらない圧倒的な強さに魅了され、とても楽しみにしていました。
 

 前情報についてはコチラもどうぞ!

www.bmxrip.com

 

 
★★★★☆(3.7)
  

«あらすじとか前知識とか»

 時はBvSから約100年前。女性だけの島、パラダイス島に住むアマゾン族のプリンセス ダイアナは、幼い頃から勉強よりも武術の訓練に興味津々。母から古の頃、人間を惑わせ戦争を引き起こさせた「アレス」という戦いの神がいて、「ゴッドキラー」という塔に保管されたその剣だけが神を殺せるということもずっと言い聞かせられていた。
そんなある日、島に墜落した戦闘機に初めて見る男スティーブが乗っていた。話を聞けば人間の世界では戦争が起きているという。アレスが戦争を引き起こしているんだ!私が倒さないと!と決意し、ダイアナは人間界へ赴く...
 
 
 

※以下ネタバレ満載です※

 
  
ダイアナは子供を願った母ヒッポリタがつくった粘土にゼウスが命を吹き込んだことで生まれた、島で唯一の子供という出生。もうとにかく子供の頃のダイアナが可愛くて可愛くて仕方ない...。
イギリスに乗り込んですぐ、赤ん坊を見かけて興奮したダイアナが「子供ね!素敵!」と駆け寄ろうとするシーンがあるけれど、ダイアナは島でただ1人の子供だったからあれが初めて見る"子ども"の姿だったんですね。
 
スティーブは逃亡中にパラダイス島に墜落したせいで、追手のドイツ軍がすぐに来てしまい、パラダイス島は猛攻撃に遭うことがスティーブとダイアナの出会い。目が覚めてあんな美女がいたら夢かと思うよ・・・
(というかパラダイス島は、その場所にさえ辿り着けば強行突破で着けるのよね。感覚的にもイギリスからそんなに遠くなさそうなんだけれども、こんなに見つからないものなのだろうか。「キングコング 髑髏島の巨神」みたいに島が常に嵐に包まれていて近づきづらいならまだしも...とはいえパラダイス島も濃霧に包まれていたからそれが原因かなぁ)
 
このドイツ軍上陸のシーンはちょっと「プライベート·ライアン」を思い出しつつ、アマゾン族の女性の戦い方と強さが描かれる。しかしアマゾン族も神ではないから銃弾を受けたら怪我もするし命も落とす...無敵ではないのだ...。もう少し強くてもよかった。
 
140分と少し長めでダイアナの島での過ごし方と信念、性格をしっかり見せていた分、感情移入しやすくて。
言い伝えの通り、ゴッドキラーでアレスを倒し悪の根源さえ葬れば平和は戻ると信じているダイアナと、そんなことはお伽噺でしかないと気づいているスティーブ。ダイアナ任せではなく、自分がすべきこと、守るべきものを見極めて最後まで行動するスティーブは本当に英雄だったと思う。
全体的に「ドイツ軍が悪」(ダイアナのドイツ軍=アレス=悪も含め)で進んでしまうのだけれどスティーブは「この戦争は"僕たちみんな"の責任なんだ」とダイアナにキチンと伝えるところがあったのはよかった。
だからこそ、スティーブが決断をして言い残す「僕は”今日”を救う。君は”世界”を救え」というセリフが言えたんだなぁ。ワンダーウーマンで一番好きなセリフ!
結果アレスを倒しても戦争が終わるわけはなく、人間の負の連鎖を目の当たりにして「こんなのはおかしい。やはり母の言う通り、人間なんて救うに値しない存在なんだ」と見放しかけるダイアナになお「信じること」を説くスティーブのそれは自分にも言い聞かせていて、戸惑うダイアナに迷う自分を重ねて鼓舞された面もあるというか。 
 
ロマンスは比較的いい塩梅だったと思うけれど、信頼関係を築きながらこのバランスで愛も描くならチークダンスのシーンだけでももう少しロマンチックさがあってもよかった気がする。あまり濃厚なシーンを描かない分、男女だけの関係ではないこともうまく示唆されていたのは良かった。
 
でもスティーブが集めた仲間たちについてはもう少し掘り下げてほしかったかなぁ…。狙撃手のチャーリーはPTSDなんだろうけど、にしても歌以外で見せ場を作ってほしかった。
近年のDC映画では一番よかったし、パラダイス島襲撃シーンも、村を守るために「今ここにいる人たちを見捨てるなんて絶対にできない!」と立ち上がり、周りもその士気に押されて立ち上がるところなんて最高に胸熱だった。
 
けれども、ラストのアレス戦が唐突にチートになってしまうのはどうなのかなーーーと。あとラスト戦闘周辺の会話は少し削って120分くらに収まっているともっと見やすいような気もする。アレス」のヒーロー引き抜きあるあるはお決まりだけれど、そもそもいつからパトリック卿に乗り移って?生まれ変わって?いたんだろうか。
アレスも「人間は愚かだ」と言うならば優しすぎるまでに煽り、焚きつけすぎず俯瞰してほしかった。けれど昔も人間を惑わせて戦を起こさせたわけだから何も変わってないんだよな。アレスのスーツもかなりやっつけ感があったこととドクター・ポイズンもよくある雰囲気でDCヴィランの雰囲気があまり感じられなかったしもう少し作りこんでほしかったかな。
 
今回は腕クロス閃光とか怪力パワー描写も一瞬で人物描写が多めだったので、次作はヒーロー面の細かいところをもっと見たい!DC作品は未だにシリアスアメコミにいきすぎているから、いっそこちらはもう少しコミカルに冗談も言う王女のチャーミングさをもっともっと出してくれたらもっと好きになるよ!!