愛しき人生のつくりかた(ネタバレ)

愛しき人生のつくりかた(2014) 

 
マドレーヌおばあさまとその息子たち、孫のロマンの一家3世代に焦点を当てた1作。パリとノルマンディーが舞台になっていて、これぞフランス映画という雰囲気とおしゃれな音楽に、主人公たちのあたたかみのある人間模様がうまく中和していてとても癒されるし、93分と短いので観やすい。
 
★★★★☆(3.5)
«あらすじとか事前知識とか»
 
マドレーヌは誕生日を前にして、最愛の夫に旅立たれてしまう。息子のミシェルと兄弟は母が1人になったこと、同じくして怪我をしてしまった様を見て、力になりたいと世話を焼くが母は突然姿を消してしまい...というお話。
 
気持ちも元気なマドレーヌだけれど、どうしても身体は弱っていく。息子3人(みんな髪が薄くて見た目そっくりなんですね。笑)はヤキモキしながら老人ホームの手続きをし、仮入居という話ではあったがお金がないことからマドレーヌの住んでいた家を売却してしまう。
大事であることは変わらないのにいまいち上手く伝えあえないマドレーヌと息子たち、息子のミシェルとその妻のナタリーの離婚騒動!?に遭いながらも奔走する孫のまっすぐな愛と気持ちがまぶしくなるんですね。。
 
 
 
以下ネタバレを含みます!ご注意!
 
 
この映画、お葬式のシーンで始まり(マドレーヌの夫)、ラストもお葬式のシーン(マドレーヌ)で終わるんですね。なのに重苦しい雰囲気はあまり感じさせず、死を最後に用いてそれを言及するのでなく、生きたい人生を全うし、家族と生きることというメッセージがとてもあたたかい。
 
何と言ったって孫のロマンくん!!!!こんなに良い孫がいますか!?こんなにも家族想いの息子なんてすばらしすぎるよママ!!ここまで心があたたかく人の気持ちを考えられて夢も持ったかわいい孫をおいて死ぬなんてできないよ。。
もちろん派手さはないけれど全体的にテンポよく進むし、とにかく登場人物がみんないい人で。
マドレーヌの息子ミシェルはこんなに美しい妻を持っていながらひどい優柔不断(レストランで1時間メニュー表と睨めっこ)で、もう呆れられてしまうのではないかというところに離婚しましょう、好きな人ができたわ。とカマをかけるんだけれども、ミシェルはそれに対してすごい剣幕で怒るでもただ悲しむでもなく、きっとヨガの講師だろ!とヨガ教室まで怒鳴り込みに行くんですね。男らしいところあるじゃん!と同時に、ミシェルも本当にナタリーのこと大すきなんだな~~!!と少し羨ましくもなって。
 
そんなミシェルがナタリーに出会ったときに伝えたセリフがすっごく粋で素敵で。
 
「こんにちはマドモアゼル。こんなに美しい人は見たことがない。もう会いたくない」
 
と言うんですね~~~~こんなこと言われて痺れない女性はいないのでは!それから何十年もたって、優柔不断のままで頭も寂しくなってきた彼でもナタリーにとっては変わらず大事な夫だという、これ以上ない夫婦の形だなと。気持ちが離れてしまった(とミシェルは思い込んでいる)ナタリーに突如として出会いのセリフを再び伝えるミシェルの男気と愛!!
 
そして両親のことも祖母のこともいつも一番に考えて優先して行動できるロマンくんが素敵でした。この年代なんてもっと友達とも遊びたいだろうに、心から家族と過ごすことを選択して笑ってくれるあの顔を見てしまったらもう守りたいこの笑顔。に尽きるよ。
 
マドレーヌが母校や思い出の地を回り、ただ老人ホームで安静に過ごすより最後にしたいことを行動に起こし、それを尊重した一家の形は理想すぎてまさに映画の世界ならではという部分はあったものの、ここまで最後まで気持ちよくダレずに観られて満足。
あたたかいフランス映画を堪能したい方の昼下がりに添えたい一作♪