映画「パッセンジャー」ネタバレ - "2人だけが先に目覚めた"に騙された

宇宙とSFが舞台で、ほとんど全てのシーンが宇宙船ないでのシーンで構成されている。そのためか、宇宙感や科学的なコアなネタでいうと宇宙SFが好きな人には物足りないかも?正直、日本の広告に騙されたなって感じはありました。でも比較的好きな部類の作品だったので免除!
 
パッセンジャー(2016)
 

f:id:bmxrip:20170904224215p:plain

監督:モルテン・ティルドゥム
出演:クリス・プラット/ジェニファー・ローレンス 他
 
 
★★★★☆(3.8)
 
 
映画だから美男美女ゆえ許される展開もあり、宇宙空間でたった2人、宇宙船とはいえ密室の箱でただ2人ってわりと観方によっては恐ろしさまである。
 
 

あらすじ

宇宙旅行を120年過ごした先の惑星への移民を試みて、5000人の乗客とクルーを乗せたアヴァロン号が舞台。冬眠ポッドの思わぬ故障が原因でジム(クリス・プラット)だけが目を覚ましてしまう。120年の旅の予定が、地球を出発してからまだ30年しか経っていなかった。惑星到達まであと90年だが再冬眠は不可、船で起きているのはアンドロイドとロボットのみ。地球への通信手段も実質なし。(メールが届くのに19年かかり返信が来るには55年かかると予想だという)明るく務めていたジムが禁断の行為に手を染める…
 
 

ストーリーとネタバレ

ただ1人目覚めてしまい、全ての可能性を試し、半分諦めの境地で何も考えないように過ごしていたジムが改めて目に止めたのは"冬眠ポッドの使用説明書"なんとこの冊子には冬眠ポッドの解除の仕方が記されていたのだ。
施設内をくまなく堪能し尽くし、バーテンダー兼アンドロイドのアーサーとだけ会話を過ごす日々も1年を過ぎると、どうにも耐えがたい寂しさが襲ってくるようになり、美しき乗客オーロラ(ジェニファー・ローレンス)に見惚れる。ジャーナリストで作家でもある彼女の作品を気に入り、彼女と過ごしたい欲が抑えられなくなったジムは、それが彼女の人生を奪うということを分かっていながらも彼女を起こしてしまう。
 
もうこの時点で「90年も早く目覚めてしまった2人」ではないんですよね。やられましたよ。ジムがそれで起きて、劇中もちょこちょこと船のシステムに異常が起き始めている描写もあったおかげでオーロラも目覚めてしまったと思ったんだけれど。
 
話し相手もお互いしかおらず、容姿も素敵で頭のいい2人、そりゃあ惹かれ合いますよね。やがて2人は愛し合うようになり、1年が経つ頃。アーサーが「彼はすごく悩んであなたを起こしたけど、今2人がとっても幸せそうでほんとによかったなぁ!」なんて言ってしまうわけですね。AIがいくら進化していると言ってもまだまだ自意識や善悪の判断が確固たるものではないもの。(映画「エクス・マキナ」くらいまで行けばまた別)
 
それはそれは怒り狂うオーロラ。実質"オーロラをころした"ことと同義ですから。これだけ人間がいても自分1人、それで1年過ごしただけでも確かに考えただけで気が狂う。けれど彼のエゴだけで、彼女の人生に選択肢はなくなってしまった。私ならその場でメッタメタですよ。生かしているだけ偉いよ。船内に木を植えたからって許せないよ。
 
気まずくなった2人だけれど船の故障の過程でクルーのガスも目覚め、これで安心だと思った矢先にガスは生きていることがギリギリなほど病気で弱ってしまって、思うほど前に進めず。そしてガスは亡くなってしまう。やがて船のシステムの故障は尋常ではなくなり、船ごと爆発しそうなほど熱暴走を始めたことで協力し合い、再び絆が芽生え、互いが大事だと気付く。(この辺ちょっとチープだけど一種のジェットコースター効果のようなものかね)
 
船の無事は死守した矢先、ガスの持つアクセス権を持ってすれば再び入眠に入ることが出来ることが判明する。ただし、それが可能なのは1人だけ。"君に人生を返したい"と告げるジムだが…
 
90年後、目を覚ました乗客とクルーたちが見たのは、一本の木から生い茂った楽園のような空間だった。
 
 

感想とか文句とか

スイートルームと超豪華ホテルを組み合わせたような船内はとても美しく、未来を感じさせるフォルムであるものの、アンドロイドやロボット、遊具施設は比較的現代感もあるなと思った。
 
実際お相手がクリプラでジェニファーだからいいものの、そして地球側とあそこまで連絡がとれないシステムというのはどうなのだろう?乗組員全員が冬眠している状態で、120年もの間宇宙旅行を必要とするのに今まで無事故だからと特別衛星とかもないのはなぁ。5000人を乗せて移民するというところまで進んだ未来であるなら、そこのところも設定もう少ししっかりしてほしかった。
ラストも何とも言えないのだけれど、2人は結局冬眠ポッドには入らず2人で生涯を送ったということになるけれど2人の身体はどこにあるのか。。まさか宇宙空間とか言わないよね…。2人は幸せに暮らしました風だけれど、メール送付にも数十年かかるとはいえ送れるのだから、この過ごした日々の話をオーロラが描き続けて地球に送っていたとかなかったのだろうか。さすがに蛇足かな?
 
突っ込みどころは多々あるし、"宇宙SF"として観るよりただの"近未来映画"くらいのイメージで見た方がいいかも。舞台は宇宙ではないけれど「ガタカ」も思い出したので久しぶりに観ようかな。