映画「リメンバー・ミー」ネタバレ感想 - 家族を、大切だった人を今日は想い出しませんか

 

こんにちは桜江です。

死者の国と世代を超えて家族を繋ぐピクサーの最新作、字幕版で鑑賞してきました。

リメンバーミーを観たら今いる家族のこと、亡くなった家族や大事だった人を思い出させてくれるあたたかな気持ちに包まれるはず。

 

リメンバー・ミー(2018)

原題:Coco

 

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 おすすめ度

★★★★★★★★☆☆

 

あらすじと見どころ

 

少年ミゲルの一家は、古くより音楽を見ることや聴くことを禁じ靴職人として代々継いできていた。ミゲルのひいひいおじいちゃんに当たる男が音楽家であり、子供を持ったあとも音楽の道を諦められず家族を捨てて帰ってこなかったことがキッカケだった。しかしミゲルは実は音楽が大好きで、屋根裏でこっそり大ファンで最高の音楽家と呼ばれた「エルネスト・デラクルス」というアーティストの祭壇を飾ってはギターの練習をしていた。

そして迎えた「死者の日」は「祭壇を飾り、家族で過ごすべき」という家族と、街の音楽コンテストに出場したい気持ちとで葛藤する。家族に打ち明けるも反対される中、ミゲルは自分の家系につながるある事実に気づく──

 

本作の肝となる「死者の日」はメキシコで現在も続く「死者の祭典」を描いたもの。死を悲しいことや辛いことと捉えず、神に近づく喜ばしいことであるとされているそう。かつてアステカ時代があった名残の「人は死を迎えると太陽への捧げものになる」という風習もあるのだとか。その中で広場に集まり民族衣装や音楽に乗って踊るという文化があり、そのシーンは映画の序盤でも描かれます。

 

ストーリーとネタバレ

音楽禁止という厳格な掟を課せられている靴職人の一家に生まれたミゲルは音楽が大すきな少年。かつて天才音楽家と謳われたデラクルスの大ファンだった。しかし死者の日の音楽コンテストに出たいと準備を進めるうちに、ただ一人祭壇に飾られないひいひいおじいちゃんの正体に気づくキッカケを得る。ひいひいおじいちゃんの持つギターとデラクルスの愛器が全く同じものであったのだ。それを家族に伝えるも理解を得られず、大事なギターも壊されてしまう。コンテストに出場するために、ミゲルはデラクルスの記念館に忍び込み彼のギターを奏でると、彼は「死者の国」側の同じ墓地にいた。

 早速先祖たちと出会うもここでも音楽は禁じられ、音楽を認めてくれる唯一の親族であろうデラクルスに会うべく、犬のダンテ、死者の国で出会った孤独なヘクターとデラクルス探しに出る。しかしリミットは日の出まで。それまでに生者の国に戻れなければ、ミゲルもまた死者となり忘れ去られてしまうのだ。

 

死者の国でのコンサートや、ヘクターと仲たがいをしながらもミゲルはデラクルスと出会い血縁関係を伝えることに成功する。しかし”許し”を与えてもらうそのとき、ヘクターがその場に現れ、実はデラクルスとヘクターは過去、本当にデュオを組んでいた事実を明かす。代表作「リメンバーミー」はヘクターが作曲したもの、ガイコツマークのギターもヘクターのものであった。それどころか「家族の元に帰りたい」というヘクターにデラクルスは毒を盛っていた上に、あろうことかその事実を映画にまでしていたのだ。つまりヘクターはミゲルの実のひいひいおじいちゃんであったのだ。

 

コンサートに来ていた客たちにもその事実を家族の計らいで映像によって伝え、ヘクターが本当の功労者であることが知れ渡り、ヘクターは妻のイメルダと分かり合うことが出来た。しかし現世で娘でありミゲルのひいひいおばあちゃんであるココにも忘れられそうになり、消え失せようとしているところをミゲルが生者の国でつなぎとめるのだった。

ココは幼い頃何度も父親に聞かされたその曲を覚えていて、ミゲルの演奏に合わせて歌い始めた。彼女にとって音楽は憎いものではなく、家族の大事な想い出の1つだったのだ。

翌年、そこには祭壇に新しく飾られたココの写真と、家族を囲み歌い踊るミゲル、死者の国から一家揃って帰ってくるヘクターたちの姿があった。

 

今作における"オレンジ"が描く美しさ

「生者の国」における死者の日のお祭り模様や、「死者の国」での橋や町の至るところに散りばめられた花びらなど、とにかく「オレンジ色」で魅せる映像の美しさと街の煌びやかさが印象的。

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オレンジ色が強く描かれている背景には、メキシコでの死者の祭典における文化が残っている。マリーゴールドがメキシコの花とされており、赤い花のケイトウとを合わせて街が華やかに飾られるという。そんなカラフルな弔いをベースにその良き文化を残したのがリメンバーミーでの情景の美しさにつながっているのだと思う。

確かによく見るとそこら中に飾られているお花はどれもマリーゴールドなんですよね。小学生のころはマリーゴールドのキツイ匂いが苦手だったけれど、久しぶりに見たいなぁと思ったり。笑

 

アカデミー賞 主題歌賞に輝いた「リメンバー・ミー」

正直これを観るまでは「アカデミー賞の楽曲賞はやっぱりグレイテストショーマンからくるでしょ」って思っていました(観る前に言うなというのは置いておいて)

あちらも今でも毎日リピートするほど大好きな曲たちではあるけれど、リメンバーミーにおける誰しもが抱える家族や代々繋がる家族の伝統など身近なテーマでありながらも、なかなか目を背けたくなる事実に焦点を当てていることもこの曲が愛される理由の一つなのかなと思ったり。

 

そして何より、ミゲルが生者の国に帰ってココに父親との思い出の曲であるリメンバーミーを歌い聞かせ、ずっと大事な人を忘れないこと。時に思い出してあげることを描くシーンからは最後まで涙が止まらなかったし、この場面でリメンバーミーを歌うのは想像できるところなんだけれど、それでも主題歌の使い方が上手すぎて強烈に印象に残ったなと。ミュージカル映画での主題歌って作中でもっと何度も繰り返されて聞きなじむイメージが強かったのだけれど、リメンバーミーでは使いどころがとても重要というか。もちろんそれまでにも歌われるシーンはあったけれどね。正直そこまでのシーンもいい話ではあるけれど、なるほどこういう感じだな~ヴィランは結構クズの成り上がりにしたなぁと思っていたけれどここでグンと惹きつけられた。

 

あと、やはり死してなお憎しみ合うなんて悲しいことはあってはいけないと思うし、人間関係だとかお金のいろいろだとか現世での問題は抱えずして死にたいなとも思う(今そういうアレコレがあるという話しではなく。笑)

「許せなくても忘れてはいけない」って、深いよなぁ。簡単に出来ることではないけれど、そんな人間に成長したいと思うアラサー。。

 

また子供むけ映画でもあるピクサーがこれだけブレずに死と向き合う映画を描いたこともすごいというか流石というか。なかなか難しいテーマでもありながら、家族の大切さや繋がりを意識させるにも素敵な作品。骸骨のフォルムも可愛く描かれているから不気味さとかも特にないですし。死者の国だけれど息を呑むほど美しいというのも魅力のひとつ。

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死者の国にも「最後の死」があるというのも、今回のテーマの一つ。人の記憶から消えたときが本当に死ぬとき、なんてセリフをどこかで聞いたことがあるけれど、それを強く認識させられた。

 

同時上映「アナと雪の女王 家族の思い出」とも繋がる伝統のあり方

本編前にアナ雪の後日談とされるクリスマスの話をやるわけですが、そこでも十二分に家族や国での伝統とそのコミュニティで築いてきた繋がりを意識させられて。本当にその決まりが今でも家族を繋ぎ、守るためのものであるかということや、逆に定まった決まりがないことは悲しいことなのか、決まりきったことだけが習慣なのかと考えさせられたり。

あと懐かしくなってしまって、アナとエルサがかつての”伝統”を思い出す回想のシーン「トントン,トトントン(雪だるまつくろ~前のノック)」でグッときましたね…笑

 

ディズニーやピクサーは子供むけといえど、大人でも楽しめるアニメーションを作り続けていてくれるし、今作も大人でも夢中になれる素敵な一本です。

リメンバーミーを観て、誰を思い出しましたか?