映画「ワンダー 君は太陽」ネタバレ感想 - 太陽系の家族とオギーの疾患

こんばんは、桜江です(ง ˙ω˙)ว
大ベストセラー小説の映画化となったこちら。疲れた心やひと息つきたいときの栄養になるような、素敵な120分をどうぞ。
 
ワンダー 君は太陽(2018)

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監督:スティーヴン・チョボスキー
出演:ジェイコブ・トレンブレイ(オギー)/ジュリア・ロバーツ(母イザベラ)/オーウェン・ウィルソン(父ネイト)/マンディ・パティンキン(校長トッシュマン)/イザベラ・ヴィドヴィッチ(姉ヴィア)/ノア・ジュプ(ジャック) 他
 
おすすめ度
★★★★★★★★★★
・家族の物語が好き
・心の洗濯がしたい
・ヒューマンドラマが大好き
こんな方はぜひぜひ観て間違いなしです!!!
 

あらすじ

 
宇宙飛行士を夢見る10才のオギーは、遺伝子の疾患から人とは少し違う顔を持っていた。初めて学校に行くことになったオギーと家族たちを待ち受ける出会いと絆とは──。
 

ストーリーとネタバレ

 
遺伝子の疾患で、周りの人とは違う顔を持つオギーは、宇宙飛行士になることが夢の10才の男の子。自室には宇宙ものの家具やグッズでたくさん。外に出る時はプレゼントにもらった宇宙用ヘルメットを装着。
今までは自宅学習で過ごしてきたオギーは、ついに小学校に入学することとなる。
 
小学校では校内案内のため、意地悪なジュリアン、少しおどおどした雰囲気のジャック、モデルをしているシャーロットの3人と出会う。
先行き不安を抱えるオギーは家族に見送られ、楽しい空想をしながら学校生活を始める。学校ではいじめられながらも、やがてジャックと親友のようになる。
 
オギーの姉のヴィアは、幼馴染のミランダとなぜか不仲になってしまい、演劇サークルで出会ったジャスティンにも一人っ子だと嘘をついてしまう。家族はオギーにつきっきりだったことから、おばあちゃん子だったヴィアは、おばあちゃんの存在を思い返しながら自分を強く保つ。
 
ミランダは両親が離婚していて、実は強く憧れていたヴィアとその家族になりきったフリをしてサマーキャンプを過ごしたことから、ヴィアに顔向けが出来なくなっていた。
 
ある日オギーはジャックが自分の陰口を言っていたことを聞いてしまい、2人は疎遠になってしまう。「イヤな一日」も、「普通の子なら当たり前のこと」だというヴィア、学校ではサマーが真っ直ぐ付き合ってくれたおかげでまた前向きに過ごしてゆく。
そんな折に、ジャックはオギーに避けられている理由に気付き、オギーを馬鹿にしたジュリアンと喧嘩になる。向き合う勇気を得たジャックは、ネットゲームを通してオギーと仲直りをする。
 
代役の予定だったヴィアは、ミランダの気遣いで演劇の主役として演じることとなり、家族の前で最高の演技をする。いじめっ子のジュリアンは度重なる悪行から両親を呼び出され、逆上した両親によって転校を余儀なくされる。その夏のサマーキャンプで、上級生に絡まれたオギーとジャックはサイモンたちの助けもあってその場を切り抜け、改めて友達となる。
その年の修了式で、学長は今年度、最も偉大なことをした者としてオギーを表彰した。「誰もが一生に1度は賞賛されるべきだ」
 

ジェイコブくんの演技とオギーの"顔"

 
今作では特殊メイクをしていたこともあって、作中では気づかなかったけれどオギーを演じた主演のジェイコブくんは「ルーム」にも出ていた子役でしたね。ルームもかなり良かったけれど、ワンダーも言わずもがなでした...。
 
オギーが患っていた遺伝子疾患ですが、「トリーチャーコリンズ症候群」という疾患で、頬骨や顔の骨が十分に発達しない、瞼の垂れ下がりなどといった先天的症状があるようです。(Wiki: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/トリーチャーコリンズ症候群 )
ワンダー良かった、また観たい、オギー大好きと思う人にこそ、一度この疾患も知ってほしいなと思いました。映画で描かれている以上に、その程度も人それぞれではあるけれど、きっとオギーと同じ症状を持った人たちや、実際にオギーがいたなら彼が負った気持ちというのは私たちが想像する以上のものなんだろうと気付かされました。
 
作中でも「整形手術だって27回もやった」というセリフにもある通り、手術もかなり大変とのこと。骨自体の疾患である上に、10000人に1人の難病とも言われているそう。
 
この役を演じるために、ジェイコブくんは実際に似た症状を持った子供たちの支援施設や病院に行き、直接話を聞き、手紙ももらっていたようで。真摯に向かい合う役作りのおかげで、素晴らしい映画になったのだなと。実際にも若干11歳のジェイコブくん、もっともっと素敵な俳優になってくれることでしょう!
 

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▼スターウォーズ大好きジェイコブくん。チューイと共演よかったね!!

太陽系の家族という描写

「君は太陽」という副題を見て、「太陽のように周りを照らす子」といったよく言うイメージをしていたのですが、今作ではそれだけではなくて。ヴィアのセリフであったように、「オギーが太陽で、わたしたち家族はその周りの惑星で我が家は太陽系だ」というセリフがもうめちゃくちゃ好きで。
 
オギー自身も太陽のように素敵な子であることは言わずもがな、これまた"太陽"のように、周りの月や惑星があってその輝きを放つように、家族や周囲の優しさや愛情を受けてそれを返してゆくオギーの笑顔がとにかく眩しかったなぁ。
 
そして今作は配役がとにかく素晴らしいと思う。特に両親役を演じたジュリア・ロバーツとオーウェン・ウィルソン。2人ともハマり役すぎて、ジュリアンの息子を大事に想いながら、辛い経験をするだろうことも理解した上で、オギーがこれからを強く生きていくために早くに経験すべきことや、家だけでは教えきれない知識のために手を放すところも、オーウェンのただ優しく慰めるだけでない父親の在り方がもうとにかく素敵でした。
 

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オギーだけでない"それぞれの形"

 
ワンダーがこれだけ素敵でありながら、ありがちな感動作に収まらなかったのはオギーだけではない、それぞれの心情にしっかりスポットを当てていたからこそだなと。
個人的に「可哀想」なことを全面に押し出していたり、「泣ける」ばかりが宣伝文句だったりする映画って、それだけで気後れしてしまう節もあるので苦手なのですが。(可哀想とか寿命が~とかよりも、色んな境遇の中、立ち上がりそれを跳ね除けて強く生きてゆく人間の生きざまで感動して泣くタイプ)
 
ただワンダーでは、オギー本人だけでなく、家族、その恋人、友達、と関わる人達の人生も照らしてくれたからこそ、物語に深みが出て、それが更なるオギーや取り巻く周りへの愛情をもっともっと深くさせられました。
 
とにかく真っ直ぐ素敵な人しかいなくて、ジュリアンは悪者のような立ち位置ではあるけれど子供ってそういうところあるよなぁ。と思う上に、両親呼び出しシーンを見ていると、まさにこの親あってこの子ありとしか思えず...。彼は彼で、周りの視線を独り占めしてゆくオギーに対する嫉妬心からそういった行動に出ていて。子供とはいえ許されることではないし、ジャックたちの変化を見てゆく中で改心してくれたらよかったけれど、結局自分が友人達を失うことになるんですよね。諸行無常。
 
ただもちろん、撮影裏ではかわいい...こんなにかわいい...また出会えたら素敵な友達になってね...
 

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そしてメイキング映像で子供たちが監督にワーーーッと抱きついていった動画が可愛いすぎて悶絶しました...監督もすごくあたたかそうな人で、こんなに素敵な映画を作ってくれたことに納得しました。
 

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作品全体の雰囲気としては、昨年の「ギフテッド」のような、あたたかみが溢れる中にそっと寄り添ってくれるような、オギーが自分らしく生きてゆくことに心を打たれる、素敵な一本でした。