映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」ネタバレ - 子供とチョイ悪親父のコンビはずるいというお話

ちょい悪のイケイケ親父さんが隣に引っ越してきた親子の息子との関わりを経て、成長してゆく一種のバディムービー。笑いあり、スカッとあり、感動あり!
 
 
ヴィンセントが教えてくれたこと(2014)
監督: セオドア・メルフィ
出演:ビル・マーレイ/メリッサ・マッカーシー/ジェイデン・リーベラー/ナオミ・ワッツ 他
 
★★★☆☆(3.8)
 
 

あらすじ

 
気難しさゆえにやっかいで有名なおじいさんのヴィンセント。その隣の家に越してきたのはシングルマザーのマギーと息子のオリヴァー。ひょんなことがきっかけでオリヴァーはヴィンセントと共に過ごすようになり、彼の意外な一面を知ってゆくこととなる
 
 

ストーリーとネタバレ

 
曲者じいさんのヴィンセントは、時折家にロシア人ストリッパーのダカを呼び、自宅を担保に銀行から借金を抱える暮らしをしていた。そんなある日、隣の家にマギーとオリヴァーの2人が越してくる。しかしマギーが雇った引っ越し業者がヴィンセント家を巻き込む騒ぎを起こし、最悪の出会いを果たす。
 
オリヴァーは学校が始まるも、小柄で体力もないことからいじめっ子のオシンスキーに目を付けられ、財布や携帯、家の鍵を盗られてしまい、家に帰るも中に入れず、庭にいたヴィンセントに電話を貸してもらえるよう頼む。マギーと話をしたヴィンセントは預かる代わりに手間賃をもらうことを約束する。
オリヴァーを迎えに来たマギーは改めて「仕事が忙しいため今後もたまに面倒を見てくれないか」と持ち掛け、条件を提示したヴィンセントは申し出を受け入れる。
それから放課後は共に過ごすようになったオリヴァーは、ヴィンセントに喧嘩の仕方やバーでのお酒の頼み方、競馬にオッズの計算法など普通の大人では教えてくれない(教育上良いとは言えない。笑)ことを学び、オリヴァーはいじめっこのオシンスキーに立ち向かうことも出来るようになる。その後2人はお互いの話をすることでこれまでの環境など似たもの同士であることが分かり、良い友達として関わるようになる。
またヴィンセントには認知症の妻がおり、自らのことを忘れてしまう妻のために医者の格好をして何度も彼女に会いに行っていた。
 
しかしやがて、ヴィンセントがオリヴァーを子供に相応しくない場に連れまわしていたことが知られ、マギーにシッターを辞めさせると言われ、介護施設料金の滞納などが重なったところに借金取りが家にやってきて脅される。こづかれたタイミングでヴィンセントは突然倒れ、病院で検査をすると彼は脳卒中であった。若干の後遺症が残りながらもリハビリをしつつ退院するヴィンセント。しかし退院すると、その間に妻が亡くなっていたと言われる。
 
亡き妻の遺灰と過ごす彼をマギーは嘘をついて連れ出す。着いた先はオリヴァーの学校の「私の身近の聖人」といテーマの発表会。ちょうどオリヴァーの発表が始まり、彼にとっての「聖人」はヴィンセントであると声高に発表していたのだ。

「貧しく生まれながらも戦時は勲章を与えられ、彼のことを忘れてしまう妻の選択を8年間続けた。競馬やバーにも連れて行ってくれた。彼の表面を知る人は彼の行いを悪く言うが、実はそうではない。むしろ彼こそが聖人なのだ。」
場はスタンディングオーべーションに包まれ、オリヴァーはヴィンセントにメダルをかけてあげる。2人で過ごした時間は大きな友情が育まれた時間だったのだ。

 

 

感想とか文句とか

 
昔ヤンチャしてたおじさん・おじいちゃんとまだ何も知らない子どもとの組み合わせが面白くないわけがないんですよ!「パーフェクトワールド」(ケヴィン・コスナー主演/あっちはチョイ悪には収まってないが)とか「アバウト・ア・ボーイ」(ヒュー・グラント主演)お互いに刺激になる関係はやっぱり素敵。
拗らせた大人に最も効くのは無垢な子どもが一番なのかも。
 
ラストの発表のシーンはお決まりっちゃそうだけれども、やはり胸にこみあげてくるものが良い…。ヴィンセントの若い頃や奥さんとの写真もたくさん観られて、ああ素敵な人生だったんだなぁと思える。絵にかいたような人生を送っていることが=幸せではないよな、と改めて。いろんな人生の形があって、その中でどう生きてきて何が残ったのかが大事なのかな。怪我によって後遺症が残るヴィンセントにも変わらず世話をするダカの愛の形にもグッときた。ええ子やん姉ちゃん・・・
 
 
そして(母親に今後は私とお父さんのところを行き来するのよ、と言われ)「でも浮気ばっかりするんでしょ?」
「t周りにも親戚にもFacebookでも言い回っているの聞いてたよ」という言葉。子どもは思った以上に大人のことをよく見ているし、ちゃんと理解してるということ。というかハリウッドで描かれるこういう子どもは随分と強かなことが多いけれど、そういうものなのかなぁ。幼いうちに両親の離婚やいろいろを経験してしまったせいかおかげか、早く大人になってしまうのは皮肉か。